島のものIsland Products

石垣島では、「さしみ」などの新鮮な魚料理が食卓に並ぶことが日常の風景となっています。近海では、マグロやカツオが獲れ、その他にもアカジンミーバイ(スジアラ)やアカマチ(ハマダイ)、マクブ(シロクラベラ)など沖縄で三大高級魚と呼ばれる魚も獲れるなど水産資源が豊富で、石垣島の漁港付近には20軒以上もの「鮮魚店」が点在しています。

1800年初頭から操業を始めた海人(漁師)の「みちたけ丸」は、石垣島で最初にマグロ延縄漁船、セイイカ漁、集魚灯漁を始めた先駆者です。

鮮魚店「みちたけ丸」

「みちたけ丸」は、1955年ごろから鮮魚店も構えており、現在は中島清香(なかじま さやか)さんが受け継ぎ、「みちたけ丸」から水揚げされる魚や、セリで仕入れた魚をさばき、管理し、販売しています。

魚を逆さまに吊るすことで身を傷めず、血抜きの効果もある

アカマチ(ハマダイ)をさばく清香さん

「小さい頃から父親が海へと漁に出かける姿や、魚が暮らしの中にある風景が当たり前の生活を送ってきました」と話す清香さんは、石垣島で出会った夫の地元、神奈川県へと嫁いだ後も「みちたけ丸」が釣った魚を本土のお店に卸す仲買の仕事をしていました。

「鮮魚店を引退しようと思うが清香がやらないか?」と祖母のタケさんから声をかけられ、神奈川にいても扱っている魚は「みちたけ丸」のものだし、自分のベースはやはり石垣島にあるのだと再確認し、夫を連れて石垣島に帰ることを決断しました。

命をいただく

清香さんが石垣島へ帰ってきて鮮魚店の仕事にも慣れてきた矢先に、新型コロナウイルスが蔓延してしまいます。

「みちたけ丸」では、1回の漁で最大5トンの漁獲量がありますが、コロナ禍により魚の出荷量が大幅に減ってしまい大量の魚が破棄され続けました。

清香さんは、命を賭けて漁に出る海人の労力や想いも、漁獲された魚の命も、無駄にしてはいけないと強く感じるようになり、魚を使った加工商品の開発を始めました。

白身魚のふりかけ

マグロや白味魚を使った「つくだ煮」や「ふりかけ」、「ラー油」に「オリーブオイル漬け」、「美味しいお出汁の素」など「みちたけ丸」で水揚げされた魚が無駄なくおいしい加工商品へと生まれ変わっています。

さしみ

「さしみ」は、水揚げしてすぐがおいしいと一般的には言われていますが、実はステーキ用の牛肉と同じように魚も適切な管理のもと熟成させることでアミノ酸などの旨味成分が増すため、寝かせることでさらにおいしくいただけるようになります。

今後の目標

「現在は、魚を使った食品の加工商品を主に開発し、販売していますが、今後は『内側からも外側からも綺麗になる』をテーマに、肝油などを用いたコスメ商品の開発などにも力を入れていきたいと思っています」

プロフィール
中島清香(なかじま さやか)
1983年5月6日 08:04、代々海人の4代目の長女として石垣島で生まれる。
2013年みちたけ丸の魚を取扱う会社を立ち上げる。
コロナをきっかけに鮮魚だけでなく加工品にも着目。
サンゴ養殖にも携わり、海の環境を守りながら、恵みを頂くという事を続けていきたい。